美的なもの|価値と経験

The Aesthetic|Value and Experience

美的なもの[the aesthetic]をめぐる探求は、美学という学問のコアをなしている。一般的な価値、経験、判断、態度ではなく、美的な価値、経験、判断、態度とはなにか。それらは、倫理的、経済的、実践的な価値や経験とどう異なり、どうオーバーラップするのか。美的価値は、アイテムが快楽を与えるという観点から説明されうるのか。

2022/05/28

芸術作品、風景、家具、レジャーなど、われわれの身の回りにある多くの事物には美的価値があり、美的価値はわれわれになんらかの行為をする美的理由を与える。ある絵画を展示したり、ある景色を求めて足を運んだり、ある洋服を選んで着るのは、部分的にはそこに美的価値があるからだ。

美的価値、美的理由、美的規範に関しては近年盛んに論じられているが、その中心には「快楽主義」なる立場への見直しがある。美的快楽主義によれば、(1)美的価値を持つものとは、それに関与する者に美的快楽を与えられるものであり、(2)われわれは快楽を求めており、(3)ゆえに美的価値はわれわれに行為の理由を与える。このエレガントな説明は当のトピックにおいて長らくデフォルトの理論であってきたが、これに対抗し、快楽主義では美的実践を説明しきれないとする論者が現れてきた。

本発表では、当のトピックにおけるモンロー・ビアズリーの位置づけを再考しつつ、彼の主張のうち、いまだ十分に検討されていないアイデアを取り上げる。